ご相談者 | |
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年齢 | 35歳 |
職業 | 専業主婦(パートもしていない) |
性別 | 女性 |
家族構成 | 夫と子ども3人 |
事例の分類 | 個人型確定拠出年金(iDeCo) |
相談のきっかけ
子どもたちが、イデコのCM「イデコのおでこ♪」と口ずさんでいたので気になっていたところ、平日開催のセミナーが開催されていたので参加しました。
セミナーがとっても分かりやすかったのでFPの竹内さんにもう少し詳しく教えていただきたいと思いました。
ご相談内容
下の子がまだ小さいので、今は働くつもりはなく、専業主婦を続けていく予定です。でも、子どもが大きくなったらパートに出るかもしれません。
今日のセミナーを聞いて、「老後の資金をためなくてはならない」ことはわかりましたが、今現在、老後の資金まで正直なところ手が回っていません。老後はまだ30年後なので、現実味がありません。どうなっているのかわからないというのが正直なところです。ただ、何とかしてお金を作っていきたいと思っています。
その際、専業主婦の私がiDeCoをやることによるデメリットはあるのでしょうか?
ご相談でお話しした内容
現在の生活も大変ということですのに、将来のことも考えられていて素晴らしいです。
がんばっている人を見ていると、応援したくなります! 一緒にがんばっていきましょう!
まずは、メリットをご説明して、何が受けられて、何が受けられないのかご理解いただきたいと思います。
iDeCoのメリット
iDeCoは、拠出時、運用時、受取時にメリットがあります。
1. 掛金の全額控徐
例えば会社員がiDeCoをする場合、お給料の中から掛金の拠出をします。
その後年末調整で所得税の計算をするときに、1年分の掛金を全額控除して所得税を計算します。
つまり、掛金分に税率をかけた金額が手元に残るということです。
また、もう一つメリットがあります。市県民税も掛金×10%分減額されます。
例えば、年収が500万円で、所得税率が10%、毎月2万円の掛金の場合を考えてみましょう。
1年間で24万円老後の資金として積立をして、所得税が2万4,000円減額され、さらに、市県民税が10%削減されることになるため、合計4万8,000円の税金が戻ってきます。
2. 運用時の非課税
通常、預金利息や株式の売却に伴う売却益については、20%の所得税が課税されます。
ただ、iDeCoで得た売却益や預金利息は、20%の所得税は加算されません。
それどころか、元本+利息によって、翌年の利息が計算されるので、複利の効果でさらに利息が増えていきます。
3. 受給時の税制優遇
- 一時金で受け取る場合
退職所得控除が使えます。例えば、25年拠出していた場合、1,150万円を控除した金額に1/2をした金額について税率をかけて課税されます。
25年後にiDeCoの残高が1,000万円になっていた場合、1,000万円<1,150万円となり、所得税はかからず全額非課税で受け取れます。 - 年金で受け取る場合
この場合は、公的年金等控除が使えます。65歳までは70万円まで、65歳以降は120万円までの年金受取額上には所得税がかかりません。
iDeCoのデメリット
専業主婦の場合、上記のメリットの中で関係ないものがあります。
それは、掛金の全額控除のメリットです。
専業主婦の場合、そもそも働いていないわけですから、所得はありません。
つまり、所得がないので引くものがないのです。
そういう点からすると、iDeCoの最大のメリットである所得控除がないわけなので、掛金の全額控除のメリットを享受できないことがデメリットです。
また、60歳になるまでは引き出しができません。
そういった面から考えると、NISAにしたり、来年から始まるつみたてNISAにしてもいいかもしれません。
目先のことだけ考えないで!
マスコミだけでなく、FP的にも、ちょっと間違った認識でiDeCoをとらえているように時々感じてしまいます。
「税制優遇があるからお得」ということでiDeCoを考えていませんか?
果たしてiDeCoの目的は何でしょうか?
iDeCoの目的は「老後の資産形成」です。老後の資産形成をみんなにしてもらいたいから、iDeCoに税制優遇を持たせてハードルを下げているのです。
そして、今年から、ほとんどの人がiDeCoができるようになりました。
専業主婦の方もできるようになったのです。逆に言えば、みんなができるiDeCo(確定拠出年金)をしないことの方がデメリットだと思いませんか?
今は確かにお子さんの教育費などもあり大変かもしれません。
でも、今は少しでもいいから、将来のことを考えて「やり始める」ということが大事かなと思います。
これから先の人生、夢はありますか?
私個人としては、iDeCoだけでは、正直老後の資金形成には不十分だと考えています。
厚生労働省は、ご主人が会社員、奥さまが専業主婦をモデルケースとして、基本となる老後の生活費等を出しています。お客さまの場合はちょうどこのケースになりますね。
そうすると、平均で老後は毎月5万円の赤字だといわれています。
そうなると、90歳まで生きたとして25年なので、1,500万円は最低でも必要です。
iDeCoで「お金に働いてもらう」といっても、やっぱり月額1万円、2万円の積み立てでは限界があります。
なので、ぜひ「働いて稼ぐ」ということを考えてほしいと思います。
今は働くといっても、ご主人の扶養の範囲内でとお考えだと思いますが、そうではありません。
もう少しがんばって働いて、年収200万円でご自身で厚生年金を支払っていったとしましょう。
そうしたら、ご自身の老齢厚生年金も受け取ることができるし、それにiDeCoをすれば、iDeCoの資金だって稼ぐことができる。
何より、現役時代、ご自身のご給料分「使えるお金」が増えますよね?
いろんな可能性が増えていくことが容易に想像できます。
もちろん所得税を支払うことになるので、iDeCoの所得税控除のメリットも受けられます。
資金が少しでも増えれば、やりたかったことや、夢の実現が可能になりませんか?
解決のポイント
あなたの明るい未来のために、これからのあなたの人生を豊かなものにするために、ぜひ「iDeCo+働いて稼ぐ」をセットでお考えください。
もちろん、資金に余裕ができれば、NISAやつみたてNISAをして資産形成をしていってもいいですね。
そして、いつまでも若く、楽しんでいるキラッキラな女性でいてほしいなって思います。
将来、就職することを見据えて、とりあえずiDeCoを始めましょう。