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家族信託コラム

解決事例高齢者が再婚する場合の障害の解決方法はあるの?

高齢者といっても50歳を超えて再婚する場合、前妻の子どもたちと再婚する相手との間で起こる問題が考えられます。
争族問題」です。
この問題を解決する方法として今注目されているものが「家族信託」です。
遺言や後見を補完するしくみとして注目されている「家族間の信託」について、事例を踏まえてお話します。

信託とは何ですか?

信託とは、「財産を持っている人(委託者)が、自分が信頼する人(受託者)に財産を託して、定められた目的(信託目的)にしたがって財産を管理・処分してもらい、財産から得られる利益を定められた人(受益者)へ渡す仕組み」のことです。

高齢になって再婚する場合に起こった事例

登場人物の整理

Aさんは地元でも有名な地主さんです。おしどり夫婦として有名だったAさん夫婦でしたが、10年前に突然前妻を亡くし、悲しみに暮れて生活していました。
Aさんがあまりにふさぎ込んでいたため、一人息子Cさんが社交ダンスを習うように勧めました。最初は嫌々でしたが、気分転換に社交ダンスを習うことにしました。半年くらいすると、友達もでき、ダンスも楽しくなってきました。その中で特に、社交ダンスのパートナーであるBさんと気が合い、ダンス教室の後に食事に出かけるようになり、Bさんに恋心を抱くようになりました。Bさんは独身でしたので、お互い独り身です。これからの人生を考えて再婚したいとCさんに話したところ、幸い賛成してくれましたので、結婚することになりました。
Bさんと再婚してからは、先祖代々受け継いだ自宅で生活しています。AさんとBさんの間に子どもはいません。CさんとBさんとは、養子縁組をしていません。Cさんは既に成人し、社会人として生活しています。

Aさんの気持ち

Aさんは、自分が死んだ後もBさんに自宅で生活してもらいたいと考えています。ただ、Aさんは先祖代々受け継いだ土地を守っていかなければいけないと思っています。なので、Bさん死後は、自分の子どもであるCさんに継いでもらいたいとも思っています。

問題点はBさんの相続人がCさんではない事!

遺言を書いてBさんに自宅を相続させると、Bさんが死んだ後、CさんはBさんの相続人ではないので、先祖から受け継いだ自宅はBさんの妹が相続してしまい、自分の長男Cに引き継ぐことができないことを気にしています。

Aさんのお悩み解決方法は?

自分の死後、自分が残した財産(遺産)を特定の人に渡したいときに利用するのが遺言です。遺言を作成しておけば、あなたの遺産は遺言で決められた人に承継されることになります。

しかし、さらにその次に特定の人に承継させるということまであなたの遺言で実現することは困難です。例えば、「自分が死んだときには自宅を妻Bに相続させる。」という遺言は有効ですが、「自宅を相続した妻Bが死んだときには自宅は妻Bから長男Cに引き継がせる。」と遺言をした場合の有効性には争いがあり、無効とする考えが有力です。このように自分が死んだ後の財産の承継者だけでなく、その後の承継者も定める遺言の条項は「後継ぎ遺贈」と呼ばれていますが、2番目以降の承継者を定めた部分は単に遺言者の希望を伝えただけで、法的な拘束力はないとする説が有力なのです。

信託を利用すれば、受益権を条件や期限を付けて次々に移していくことができますので、遺言を利用した場合のように有効性や実現性に問題が生じることなくAさんの希望を叶えることができます。

信託による解決方法でスッキリ!

Aさん一家も家族間信託を使います。
長男Cを受託者にして自宅を信託譲渡し、自分が生きているうちは自分自身を受益者、自分が死んだ後は妻Bさんを受益者と定めて自宅を利用する権利を設けておき、妻Bさんが死んだら信託が終了し、残余財産の帰属先をCさんにしておけば、BさんはAさんが死んだ後も引き続き自宅に住むことができ、Bさんが死んだ後はCさんが自宅を引き継ぐことができます。

信託では、委託者が亡くなった後も、財産が信託目的に従って管理処分されますので、遺言では実現できなかった財産承継を実現することができます。
弁護士などの専門家を信託監督人や受益者代理人に選任することで、受託者であるCさんに適切に任務を行わせ、受益者の権利を守ることもできますから安心です。

実際の事例を題材としておりますが、個人情報保護の観点から変更を加えている場合があります。

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