ご依頼主 | |
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年齢 | 70代 |
性別 | 女性 |
事例の分類 |
事例の概要
ご相談内容と状況
依頼者は、夫から相続した商業地域の不動産を売却した資金で、住宅街にあるサブリース付きの賃貸マンションを購入しました。
このマンションは、サブリース業者A社がマンションオーナーから一括借り上げ(マスターリース)して、A社はマンションの居室を入居者に転貸(サブリース)していました。A社がマンションオーナーに支払う賃料(マスターリース料)は月額180万円で、マンション満室時にA社が入居者から受け取る家賃(サブリース料)の合計月額200万円の90%の設定でした。このマンションは立地が良かったため、A社は入居率を95%と見込んでいました。
依頼者は、マンションオーナーからこのマンションをサブリース付きで購入したものです。
ところが、A社は、依頼者がマンションを購入して1年半後に、入居率が予想を下回ったことを理由にマスターリース料を1割減額するように申し入れてきました。依頼者は不満に思ったものの担当者に説得されてこれを了承しました。
この契約変更の際に、残り5年あったマスターリース期間を2年に短縮されてしまいました。
ところが、契約変更から1年後に、A社は入居率の低迷を理由にマスターリース料金を更に1割減額するよう求めてきました。
依頼者は、度重なる賃料減額要求に納得できず、相談に来ました。
弁護士の対応
弁護士が周辺賃料を調査したところ、客観的に減額に応じべき理由はありませんでした。
マンションの入居率が低迷しているのは事実でしたが、マンションを確認すると、エントランスが汚損したままになっていたり、駐輪場に粗大ゴミが放置されて入居者が利用できないなど、A社のマンション管理に問題が多々あることが判明しました。
弁護士からA社に対して、マスターリース料の減額には応じられないと伝えるとともに、マンション管理を適正に行うように申し入れました。
ところが、A社が、この話し合いの最中に、複数の空室について家賃を大幅に値引きして入居者を募っていることが判明しました。
A社の管理を放置していては、約1年後にリース期間が満了した後、依頼者が低額の賃料の入居者を引き受けなければならず、損害が拡大することが懸念されました。
結果
急遽、信頼できる賃貸管理会社に管理を引き受けてもらう約束を取り付け、A社と協議をしてマスターリース契約を合意解約しました。
A社にマスターリース料を支払わせ、責任ある管理をさせることはできませんでしたが、A社との契約を継続することによる損害の拡大を回避することはできました。
その後は賃貸管理会社が適切にマンションを管理してくれて、入居率も上がったため、依頼者の賃料収入は大幅に増加しました。
解決のポイント
本件ではサブリース業者が無責任なマンション管理をしたことに根本的な原因がありました。
また、ご相談いただく1年前のサブリース改定でサブリース期間を短縮されてしまったことが、低廉な賃料で入居者を埋めるというA社の行動につながっていますので、その時点でご相談いただけていればこのような事態も避けられたかもしれません。
立地の良い物件でも、サブリース業者が不適切な管理をすれば当然ながら入居者を確保することはできません。
サブリース物件を購入する際には、想定賃料や利回りだけでなく、サブリース業者が信頼に値する業者であることを十分に確認することが重要だと思い知らされた事例でした。