シンポジウム開催報告
2019年11月27日(水)に名古屋市中区役所ホールで「所有者不明土地等問題シンポジウム―所有者不明土地等の現状と問題解決の方策―」が開催されました(主催:愛知県弁護士会、共催:中部地区所有者不明土地等に関する連携協議会(事務局:中部地方整備局)、日本弁護士連合会、中部弁護士会連合会)。
現在、土地の利活用を妨げ、土地の管理不全をもたらしている所有者不明土地問題は、喫緊の対応を迫られている問題として政府が取り組んでおり、所有者不明土地利用円滑化特別措置法等の新法・改正法が制定・施行され、来年度国会で民法・不動産登記法などの改正に向けて審議会で審議が進められています。
今回のシンポジウムでは、法制審議会民法不動産登記法部会で部会長を務められている早稲田大学の山野目章夫教授に基調講演をしていただき、石巻市の任期付き公務員として震災復興に関わった第二東京弁護士会の野村裕弁護士、公共事業の用地取得に永年従事してきた中部地方整備局の河村善隆用地調整官、地籍アドバイザーである名張市役所の荻田匡嗣用地対策係長から所有者不明土地が引き起こす問題について報告いただき、山野目教授、野村弁護士、河村用地調整官、荻田係長の4名でパネルディスカッションを行いました。
私、弁護士の竹内裕詞は、愛知県弁護士会弁護士業務改革委員会の所有者不明土地問題対応チームのチーム長を務めており、今回のシンポジウムではパネルディスカッションのコーディネーターを務めました。
会場には、約300名の聴衆が集まり、質疑応答では多くの質問が寄せられ、所有者不明土地問題の関心の高さを感じました。
山野目教授によると、法制審議会民法不動産登記法部会では12月中に中間試案を発表し、パブリックコメントを募集するとのことです。
所有者不明土地問題は、現行の相続制度、共有制度、不動産登記制度がいずれも解決できない、制度上の老廃物ともいえる問題といえます。
民法、不動産登記法という基本法が大きく変わることになり、今後も注視していく必要があります。